キッチンリフォーム・各設備検討、「食洗機」編。
キッチンリフォームを行う目玉がこの食洗機だったのですが、最終的に奮発してドイツ製のミーレを選択しました。ここに至る経緯と選定理由をまとめたいと思います。
食洗機に求めること
なんと言っても家事の負担を減らす、その上で食洗機は力になってくれると思います。最もこれは食器洗いの好みによると思うのですが、我が家では「作るのはいいけど、洗うのが嫌だ」というメンバーが揃っているので、必須アイテムです。
食洗機の国内メーカーの主流はパナソニックとリンナイ、加えて三菱電機があります。主に引き出しのように開くスライド式とドアが開くフロントオープン式があり、一般に後者のほうがサイズは大きく作りやすいのですが、スライド式で幅45cmのラインナップが主流です。食洗機の下に引き出し収納が付けられるくらい高さもコンパクトです。
一方海外メーカーはミーレ@ドイツ、ボッシュ(カゲナウ)@ドイツ、ASKO@スウェーデン、AEG@スウェーデンの4つのヨーロッパメーカーがございますが、幅は60cmが主流で、高さもワークトップの高さが85cm以上でないと入らないくらい大きいです。
食洗機としての機能も大きく異なるため、ニーズにあった食洗機を選択する必要があります。
- 国産メーカー:食事の度に使用する想定のコンパクトサイズ。予洗いが必要だが、乾燥まできっちりやってくれる。価格は定価で〜20万円ほど
- 海外メーカー:一日分まとめて使用する想定の大容量。洗浄力が高く予洗い不要、乾燥機能がなく、多少水滴が残る。価格は定価で30〜50万ほど
では私のニーズを列挙します。
その1:サイズが大きい
日に何度も食洗機を回すのは経済的でもないですし、回すと音もうるさいので、できれば夜中寝ている間にまとめて洗ってほしいです。そうなると大きいに越したことはないと思います。
また、鍋やフライパンもそのまま突っ込みたいということを考えるとやはりサイズが欲しくなります。
食洗機のサイズは◯人分、◯点、という表記でサイズが表されているのですが、これはきれいにしきつめた場合なので、大きさがバラバラな食器を入れる場合や、フライパンや鍋といった調理器具を入れることは考慮されていないので、実態には合っていません。実際使ってみても改めて大きい食洗機を選択して正解だったと感じます。
こうしたことを踏まえると、選択肢として入ってくる国産モデルは実はあまり多くはありません。以下の3機種くらいです。
リンナイ:RSW-F402C
リンナイ唯一のフロントオープンタイプ、約8人分、56点、幅45cm、二段かごがあり、容量はなかなかあります。しかしそれでもフライパンはや鍋を入れるのは難しそうです。定価19.8万(価格コム9万円)
リンナイ:RSW-601C
リンナイ、スライドオープンタイプではあるものの、幅が60cmあり、約8人分、52点が入るモデルです。横には広いので鍋やフライパンも入りそうではあるのですが、一段しかなくて、他のお皿類が入れにくそうです。
食器が入りきらないと、また出して入れ直しという作業が発生するので、これも面倒な予感がします。定価18.3万円(価格コム8万円)
パナソニック:NP-60MS8
スライドオープンタイプのみのパナソニックのモデルの中で、最も大容量のモデルがこちら、幅60cm、約7人分、50点、写真を見ると、日本企業らしくカゴが機能的で、フライパンや鍋も上手に配置する工夫がされているように見えます。しかしサイズにやや不安が残ります。定価22.4万(価格コム14万)
さてここまで国産メーカーモデルを見てきましたが、次は海外製を代表してリクシルで採用しているミーレを紹介します。国産メーカーであればシステムキッチンに組み込みやすいのですが、海外メーカー品はシステムキッチンメーカーが採用しているモデルでないと組み込みがひと手間かかります。
ミーレ:G7314
文字通り桁が違います。12人分、72点という驚異的なサイズ、幅は60cmで、ワークトップの高さが85cm以上ないと入りません、他の海外メーカーも概ねこのサイズですので、サイズを重視すると海外製が有力です。
海外メーカーの違い
さて、最後に海外メーカー食洗機の比較も少し触れておきたいと思います。
- ミーレ:洗浄完了後、自動で半開するオートオープン機能で、予熱乾燥を補助。
- カゲナウ:ボッシュが買収した最高級ブランド、内部構造はボッシュとほとんど変わらない。
- ボッシュ:海外では売れている低価格の普及モデル、日本では一度撤退した過去があり。ゼオライトによる吸湿によって予熱乾燥を補助。
- AEG:下段がリフトするためコンフリクトトレイが、かがまず食器を入れられて楽、ボッシュ・ミーレと比較するとやや割安。
- ASKO:知名度は低いが、価格が少し安く、低温の温風乾燥があり乾燥機能が強い、ラックの自由度が高い、フィルター清掃頻度が少ないというのがウリ。
各メーカーそれぞれ特徴がありますが、総じて高く、総じて洗浄力は高く、総じて買った人は絶賛しているという部分は共通していそうです。
結論としては、私の場合はキッチンまるごと入れ替えで、かつリクシルを選んでいたため、ミーレにしました。もし食洗機のみを純粋に選べるとしたら悩んだと思いますが、乾燥機能に強みがあるボッシュでも良かったかなと思います。
その2:乾燥機能
乾燥の方式としては大きく2通りあり、国内メーカーで主流の温風で乾燥させる方法と、海外メーカーの予熱乾燥です。海外メーカー食洗機のデメリットとしてよく挙げられるのが「乾燥機能がない」という点なのですが、この予熱乾燥実は十分すぎる性能を持っています。確かに食器洗い終了直後はまだ少し水滴が残っている感じはあるのですが、そのまま何時間か置いておくと、自然乾燥も進み水滴も消えていきます。
毎日寝ている間に食洗機を回すやり方であれば、例えば深夜0時に食洗機が始動、3時頃には終了、朝7時頃開けるとすっかり乾いている、という状況です。従って乾燥機能という点では国内メーカー、海外メーカーで大きな差分はありません。
予熱乾燥と異なり、国内メーカーの純粋な乾燥は電気代がかかるのではないかと思い、水と電気の消費量を比べてみました。上述の各メーカー機種にボッシュも加えてみてみると以下のようになります。
メーカー | 型番 | 容量 | 使用水量 | 消費電力 | モード |
リンナイ | RSW-F402C | 8人分 | 12L | 0.92kWh | |
パナソニック | NP-60MS8 | 7人分 | 10L | 0.55kWh | エコナビ |
ミーレ | 12人分 | 6.5L | 0.83kWh | エコ | |
ボッシュ | SMI46TS016 | 12人分 | 9.5L | 0.83kWh | エコ |
意外にも、消費電力は乾燥機能が充実している国内メーカーと予熱乾燥が基本の海外メーカーであまり差がありません、むしろ最も消費電力が小さいのはパナソニックという結果でした。一方で使用水量は大容量のミーレが国内メーカーの半分ほどで済むことがわかります。
海外製は総じて洗浄力が高いと言われてますが、高温で洗浄しているため、乾燥がなくともそれなりに電気を使うということがわかります。
なお、手洗いでは、水を100Lほど使うようです(リンナイ情報、そんなに使っていないような気もしますが)。食洗機の導入は、年間で見ると、1〜2万円ほど光熱費の低減に繋がりそうです。手荒れもしなくなり、時間の節約にもなるので、メリットが大きいですね!
その3:耐久性
気になるのが耐久性です。お高い買い物なので、長く使えないと困ってしまいます。調べるとネット情報では、国内メーカーは10年、海外メーカーは20年という記載が目立つのですが、メーカーのHPで記載を確認してみると確かに以下のような記載になっていました。
- リンナイ:設計標準使用期間を10年と算定、補修用性能部品の保有期間は製造打切後6年
- パナソニック:補修用性能部品の保有は製品製造終了後10年間
- ミーレ:20年間の使用に耐えうるよう試験をしている。メーカー無償保証2年、有償での5年・10年保証あり
- ボッシュ:15年間の使用に耐えうるように設計、メーカー無償保証2年、有償での5年保証あり。
ドイツ製の食洗機(ミーレ、ボッシュ)は長く使えて交換部品も長期保管されているという声が多いです。ただし、20年間壊れないのかというと、どうやらそうとも言い切れないように見受けられます。色々調べたところ、長く使うことはできるものの、故障自体が全く起こらないというよりは、修理をしながら使い続けられる、というような認識を持ちました。
海外製食洗機は調べると賞賛の声が多いのですが、デメリットの部分もやはりあるなと思います。以下参考になった記事を掲載します。
またそもそも故障の原因を作らないことが重要で、故障原因になるトラップがいくつか存在することもわかりました。以下も参考になりました。
故障したときの対応を考えると、やはり日本での体制が十分なメーカーを選ぶほうが良いと感じます。この点海外製だとミーレに強みがありますね。ボッシュやASKOは代理店が国内販売を行っています。
食洗機のキッチンへの導入パターン
1日分の食器、調理に使ったフライパンや鍋、フードプロセッサーやごとくまで全部洗いたいというニーズを満たせるのは、海外メーカーだ、ということで、海外メーカーを選ぶことにしました。
さて、ここからどのメーカーを選ぶか悩みそうなものなのですが、キッチンまるごとリフォームか、食洗機導入のリフォームかで話は変わってきます。双方みていきます。
システムキッチンまるごと交換の場合
実はシステムキッチン側の制約と価格面の優位性から選択肢は絞られてきます。現状国内のシステムキッチンメーカーでスムーズに組み込める海外製食洗機はミーレ一択です(型番も限定)。理由はミーレの一機種に合わせたモジュールが提供されており、組み込みやすいからです。
もちろんスペースさえあれば、自力で調達してきた食洗機を工務店に支給し施工してもらうということも可能です。私もこの方法を検討したのですが、2つの点からおとなしくシステムキッチンが採用している食洗機を選択した方が良いと判断しました。
- 国内製食洗機は定価に対して、通販の価格が大幅に安いため、自力調達によりコストダウンが可能。しかし海外製食洗機は定価からの割引がなく、システムキッチンと一緒に買ったほうが、システムキッチン全体の割引が適用されてお得。
- システムキッチンメーカーが選定している機種では、シンクまわりをこれに最適化して設計しています。しかしこちらで支給する場合、予期せぬ制約を受けることがあります。私が確認したところ、リクシルの場合シンク下にらくパット収納という引き出しを選定できなくなったり、配管の取り回しに必要なスペースの確保のため、食洗機の横に15cm幅分デッドスペースが生まれたり、ということがありました。
- 食洗機の面材をシステムキッチンに合わせたい場合もやはりシステムキッチンメーカーが選定している機種を選ぶ必要があります。この場合は食洗機がいい感じに馴染むメリットがあります。
なおイレギュラーですが、ボッシュは海外のECサイトで調べると近い性能の型番の機種で半額近くなため、自力輸入も検討しました。しかし、国内代理店を通じて調査してみたところ、作動電圧や配管径が異なるため組み込みが難しいとのこと。また、上述のように故障のリスクもある精密機器なため、サポートが得られないのは致命的です。よってこの方法は断念しました。
海外製食洗機を採用してシステムキッチンに組み込みたいメーカー選定時に、メーカー選定時に確認しておくことをおすすめします。
以下の記事では、著者がミーレの選択肢があるシステムキッチンメーカーをまとめてくれています。保証まで含められているので大変親切です。
食洗機のみ導入する場合
既存のキッチンへ食洗機のみ購入して導入するケースです。海外製食洗機はとにかく大きいので、寸法が入るかという部分が肝になります。ミーレを基準に見ていきますが、ボッシュも同様のようです。
必要スペース:幅75cm、ワークトップ高さ85cm以上
海外製食洗機は幅45cmと60cmがございますが、圧倒的に後者が推されております。値段もあまり変わらないため、小さい方を選んだらもったいないというお話です。
では幅60cmを選んだら、60cmのサイズがあればいいのか、というと否で、実は75cm必要です。ここに配管や電源スペースが必要になるからです。この部分はメンテナンス用に外からアクセスできる必要もあります。
ワークトップも日本では80cmを採用されている場合もありますが、この場合は入りません。
なお、AEGとASKOは85cmでも入らず、90cm必要なようなのでご注意ください。
もう一つ重要なのが、電源が200V・20Aの専用線が必要になることです。通常の電源は100Vですので、ほぼ間違いなく電気工事が必要だと思います。
キッチンその他の機器の徹底解説、選定方法は以下のまとめページより御覧ください
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