キッチン各設備検討、「コンロ」編。
これまではガスコンロを使ってきたのですが、ガスコンロ交換にあたって、”ごとく”がなく表面がすっくりするIHに惹かれていました。ガスにする?IHにする?というところから結論としてガスコンロを選択したのですが、その理由と、ガスコンロの選定、購入方法についてまとめます。
IHとガスコンロどちらを選ぶか
IHは、スタイリッシュでお掃除が楽そう、そして周囲を温めずに直接お鍋を温められるからエコなのでは、と思っていたのですが、実際のところどうなのでしょうか。双方のメリット整理してみます。
IHとガスのそれぞれのメリットを整理
ガスの良いところ
- 複数コンロで強火で使える(IHは電力(アンペア)が大きくなり難しい)
- フライパンを振りながら料理できる
- 調理器具を選ばない(IH対応である必要がない)
- 停電時も使える
IHの良いところ
- お手入れが楽、清潔な状態を保ちやすい
- 夏場も熱くならない
- 火のまわりが早い(すぐに調理器具が熱くなる)
光熱費比較
ネットで調べると直接的な金額比較が出てくるサイトが多いのですが、多くの場合「都市ガスならばガスのが安い」と書いてあります。根拠となるデータソースが不明なケースや、熱効率を考慮していないケースが多かったので、ここではきちんと計算します。
1kWhの電気・ガスそれぞれのコスト × 電気・ガスの熱効率
で計算します。それぞれの熱効率は、機種ごとにも変わると思うのですが、今回はガス40%、IH83%という以下の東芝さんの回答を使用します。
電気(IH)のコスト
計算条件
- 我が家(戸建て)の一年間の電気利用明細をもとに年間平均の電力料金単価を算出したところ「28.2 円/kWh」
- 契約電流は50Aのため、IHにしても十分耐えうると判断(アンペア数が低い場合は、契約電流を上げるケースも多いようです)
- 熱効率83%
1kWh温めるのにかかる費用は、
1kWh × 28.2 [円/kWh] ÷ 0.83 = 34.0円
都市ガスのコスト
計算条件
- 一軒家の我が家の一年間の電気代の利用明細をもとに年間平均の単価を算出したところ「156.8 円/m3」
- 東京ガスの都市ガス(13A)の熱量は、45 MJ/m3(12.5 kWh/m3)
- 熱効率40%
1kWh分温めるのにかかる費用は、
1kWh × 156.8 [円/m3] ÷ 12.5 [kWh/m3] ÷ 0.40 = 31.4円
結果は意外にも、ガスの方が10%弱安いものの、大きく違いはないというものです。
ただし、私の家ではガス代は年間を通して結構振れ幅が大きかったですし、電気代は時間帯によって金額が変わるプランも存在するため、結果は多少上下すると思われます。
また現状は日本の電力は火力由来が支配的ですが、もし今後再エネが普及していくならば、IHの方が地球には優しいといえるようになるかもしれません。
初期費用・設備費用
もう一つコスト面で忘れてはならないのが、初期費用であるコンロ自体の価格です。
こちらはガスもIHピンきりで、2万円台〜20万弱まで幅広いため、予算に応じて選択ができます。
比較の仕方が難しいのですが、国内メーカーで直近一年間で発売されている最新モデルの上位から下位機種までを含めた平均価格を並べてみました。色違い等の同系型番をを除きながら15~20機種をピックアップしています。
IHの価格帯(価格コム調べ)
3口コンロ・ビルトイン・幅60cm・国内メーカーで検索
該当国内メーカー:三菱電機・日立・パナソニック
製品名 | CS-G321M | RE-320SR | HT-M60S | 火加減マイスター HT-M8STF | 火加減マイスター HT-M9HTF | 火加減マイスター HT-M100XTF | 火加減マイスター HT-M200XTF | 火加減マイスター HT-M300HTF | 火加減マイスター HT-M150KTF | 火加減マイスター HT-M350KTF | KZ-YP36S | KZ-YP56S | KZ-YP76S |
メーカー | 三菱電機 | 三菱電機 | 日立 | 日立 | 日立 | 日立 | 日立 | 日立 | 日立 | 日立 | パナソニック | パナソニック | パナソニック |
最安価格 | ¥80,000 | ¥143,379 | ¥37,000 | ¥80,433 | ¥84,000 | ¥98,883 | ¥117,800 | ¥131,881 | ¥170,690 | ¥200,300 | ¥115,000 | ¥130,330 | ¥145,800 |
平均価格:¥118,115
ガスの価格帯(価格コム調べ)
3口コンロ・ビルトイン・幅60cm・都市ガス・国内メーカーで検索
該当国内メーカー:パロマ・ノーリツ・リンナイ・ハーマン
製品名 | RB31AM5H2SBW 12A13A | デリシア RHS31W30E15RSTW 12A13A | マイトーン RX31W27P14DGW 12A13A | S-series ICD6W6V 12A13A | Brillio ICD7W6V 12A13A | repla PD-509WS-60CK 12A13A | CREA PD-971WST-60GJ 12A13A | PKD-N36S 12A13A | WITHNA JT-891WS-60CV 12A13A | CREA PD-991WST-60CV 12A13A | メタルトップ N3GT2RVQ1 12A13A | Fami N3WT6RWTS 12A13A | piatto Light NWS5PSE 12A13A | piatto ラックリーナ N3S12PWAAFBAE 12A13A | PROGRE N3S10PWAS6STEC 12A13A | Nero DC3020SSEL 12A13A | Fami DW32T6WTS 12A13A | piatto DW36S5WAS6STE 12A13A | PROGRE DS3610WASKSTESC 12A13A |
メーカー | リンナイ | リンナイ | リンナイ | パロマ | パロマ | パロマ | パロマ | パロマ | パロマ | パロマ | ノーリツ | ノーリツ | ノーリツ | ノーリツ | ノーリツ | HARMAN | HARMAN | HARMAN | HARMAN |
最安価格 | ¥34,497 | ¥128,400 | ¥62,800 | ¥60,280 | ¥74,800 | ¥51,600 | ¥175,000 | ¥26,500 | ¥63,283 | ¥147,008 | ¥31,800 | ¥52,700 | ¥107,800 | ¥105,394 | ¥119,800 | ¥86,000 | ¥54,300 | ¥125,000 | ¥171,000 |
平均価格:¥88,314
この比較の仕方が良いかはわかりませんが、ややIHの方が高そうです。電気工事も必要になるでしょうから、初期コストはIHの方が高くなると思っておいた方がいいでしょう。
定価に対して価格コムの売価は半額以下がほとんどであり、定価などあって無いようなものですが、カタログの定価を見ると、IHは定価が30〜40万円台が目立つのに対し、ガスは20万円〜30万円台が目立つため、IHの方が価格帯として高めに設定されていると言えます。
コスト面では、初期費用・ランニングコストいずれの観点からもガスの採用が望ましいとわかり、私はガスを選択しました。
掃除のしやすさとスタイリッシュなところはIHの魅力でもあるのですが、掃除が面倒なごとくも、そのまま食洗機に入れられるため、契約アンペアも気にせず良いガスの方が良いと判断しました。
今回選定したガスコンロが寿命を迎える10年後くらいには、日本の電源構成も変わり、コストパフォーマンスの観点からIHを選択するかもしれません。
ガスコンロのモデル選択
ガスコンロに関してはメーカーの差、モデルの差が目立つほどありません。ほとんどデザインの問題です。わかりやすくメーカー・モデルごとの機能の比較表を載せているサイトが以下です。
これを見てわかることは、安全装置などは大概のモデルについており、モデル間の差は微々たるもの、ましてメーカー毎にこのメーカーにしかない機能というものはない、ということです。
そのため私はデザイン重視で選びました。現物を見ながら決めるのがおすすめです。私が重視したのは以下の項目
- ガラストップで、かつ枠が段差がなるべくないもの(ゴミがたまり目立つため)
- ダイヤル式の点火スイッチ
なお、かっこいいモデルを選ぶと自ずと上位モデルになるため注意が必要です。上記2つの条件に当てはまるものは以下。
- リンナイ
- デリシア:最上位モデル・価格コム13万
- リッセ:コスパの良い上位モデル・価格コム9万
- ハーマン&ノーリツ(ハーマンはノーリツ子会社)
- プログレ:スタイリッシュでかっこいい上位モデル、しかし価格コム14万とお高い
- ピアット:プログレ一つ下のモデル、価格コム12万
- パロマ
- クレア:最上位モデル、価格コム15万
- フェイシス:次善モデル、価格コム9万
メーカー比較で検索すると、ほとんどがリンナイVSノーリツ(ハーマン)なのですが、シェアもリンナイがトップ、ハーマン(ノーリツ)が追いかけ、パロマは1割程度のようです。こういった事情からか展示場にもパロマは見かけず選択肢から落ちました。
上位モデルがお手軽に手に届くこともあり、リンナイ・リッセが選ばれました。
リンナイ・リッセは、最上位デリシアの一個したの上位モデルでありながら、10万円を切るお値打ち価格で売れ筋のモデルになっています。
幅の選択、75cm? 60cm?
ガスコンロは天板サイズが基本的に2種類あります。60cmと75cmなのですが、実は3口コンロの間隔はどちらも変わりません。ガスコンロの両サイドの余白の幅の違いになります。
そのため特に75cmにする理由が見つかないですし、60cmにしておけば、15cm分収納スペースを作ることもできます。もちろん既存のガスコンロ交換の場合は既存のガスコンロに合わせる必要がありますが、キッチンごとリフォームする場合は、60cmがおすすめです。
調達先の検討
さて最後にどこで買うかという点についてです。
システムキッチンを工務店経由で購入し、ガスコンロも組み込むと、基本的に定価になります。ただし、システムキッチン自体が、以下の記事で述べたように割引が効くため、その分を考慮する必要があります。
最大でも工務店によるシステムキッチンの割引率は40%ほど、ここから工務店の管理費(例5%)が加算されることを考慮すると、実質的には、工務店から購入すると定価の35%引き程度ということになります。これ以上に安く自力で調達できるならば、自力調達のほうが良いということになります。
そしてガスコンロの場合、多くの場合圧倒的に「自力調達」の方が安いです。
ECサイト(価格コム・楽天・アマゾン等)
私が選定したリンナイ・リッセは、定価215,000円に対し、価格コムの最安値は92,000円、50%以上定価より安いです。ただし、自家調達には以下のような注意点がございます。
- 工務店が自力調達したものを組み込んでくれるか:私は事前に確認したところOKでしたが、念の為確認した方が良いです。
- 保証の有無:システムキッチンに組み込んだ形で購入すると、長期保証がついている場合があります。こういった保証が必要だと考える場合はその部分の金額を考慮して判断する必要があります。ものによりますが、1−2年はメーカー保証があるため、これで十分ではないかと私は判断しています。
- 初期不良の対応:初期不良の対応は、販売店によるものの、製品到着後7日程度のものが多いです。そのため、工事日より早く到着しすぎると、初期不良があったときに対応してもらえなくなります。工事工程を確認しながら、初期不良が確認できる日の数日前に到着するよう発注する必要があります。最安ではないかもしれませんが、到着日を指定して購入できるECサイトもございました。システムキッチンの納入日を見ながら発注しましょう。
- ガス種の選択に注意:ガスコンロは、都市ガスかプロパンガスかによって型番が異なるため、誤って選択しないよう注意しましょう。値段の違いはほとんどありません。
実際に発注するときは、価格コムので価格の最安ラインを見ながら、ポイント還元率の高い楽天で、到着日指定ができる店舗で購入しました。0,5がつく日はポイントアップするのでここを狙って購入です。
中古取引(メルカリ)
キッチン関連の設備はあまり二次流通していないのですが、その中でも流通量が多いのがこのコンロです。「ガスコンロからIHへ変更した」「都市ガス用のを買ったがプロパンで合わなかった」等々である程度の数出品されているのです。そのため中古で安く手に入れるという方法もありです。
ただしこの場合メーカー保証が効くのか、また動作確認ができるのか、といった問題があるのでリスクは上がります。買った直後に据え付けのタイミングがあるならば良いのではないかと思います。
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